医師の書類業務の仕事

医師の仕事は、患者さんの健康状態や病状に対して適切な治療方法でアプローチを重ね、病気に苦しむ人を健康な状態に戻すことが大きな役割です。医師は病気を治して健康を取り戻すという大課題に対する様々な仕事がありますが、その中でも意外に多く医師たちに負担を課しているのが書類業務です。

例えば診療と直接的な関係のあるものでは、日常のカルテ(診療録)とそのサマリーがあります。これは、日々の医療行為についての記載記録で法的に義務付けづけられています。その他にも、患者さんの加入している生命保険や簡易保険の書類への記載、会社などに提出する通常診断書、行政に提出する身体障害者認定書、難病指定書、死亡診断書といった書類への記載、カンファレンス用の資料、学会論文や論評などの執筆活動もあります。また医療が高度化・複雑化する中、業務プロセスを進める上で必要な書類や求められるペーパーワークが多く、本来の職務に集中特化することが難しくなっている感が否めません。

特に最近重要視されているものが健康保険の診査機関に提出する診療報酬、いわゆるレセプトと呼ばれているものです。レセプトは患者さんに要した検査や治療について、病名を付け高額医療を必要とした患者さんに関しては、その理由を明示しなければなりません。患者さんが自己負担した何割かの料金以外は、一時的に病院負担となり、このレセプトをもって患者さんが加入している健康保険に支払請求をすることになるため、この種の書類業務は必須なのです。またレスプトの記載内容が粗雑な場合、支払基金の認可がおりずに病院負担となってしまうため、病院経営上も重要な書類業務と言えます。

ある医師の実態調査では外科医の仕事のうち、約36%は他の人に任せられる書類業務があるということでした。一例では大腸癌の手術で患者さんが2週間の入院をした場合、外来で要した時間は116分(書類66分+説明35分+検査時間15分)、入院時には577分(書類98分+説明75分+回診140分+カルテ記載84分+手術時間180分)を要しました。この中で特に外科医として求められる仕事は、患者さんへの説明・回診・検査・手術に当たる部分で、全体の36%約4時間はアシスタント等に頼むことができる書類業務なのです。

勤務医の過重労働や医師の過酷な労働を強いている部分においては、できるところから軽減・分業し、医師ができる患者さんを救う術をもっと広げる努力が必要かもしれません。

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